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「大統領交代」で批判をかわす?
ウクライナ戦争は5年目に入った。ウクライナはもちろん、大国ロシアもよれよれだ。動員令を出せば青年は国外に逃げてしまうので、兵員不足。戦車・装甲車は何千両と破壊されたし、大砲・砲弾でさえ生産が追い付かない。制裁で原油輸出収入が下落。今年、石油・ガス関連の国庫歳入は20%弱減少し、GDPの4%程度相当の財政赤字になるという予想もある。
そして世界はまだ気にしていないようだが、ロシアでは9月に議会(下院)の総選挙、統一地方選挙が予定されている。筆者のロシア在勤経験から言えば、「選挙を首尾よく遂行すること(民主主義の体裁を保ちながらも与党を勝たせること)」が、1年以上も前から政府の最大の課題になる。
ロシアの選挙というと、西側ではまやかしだと思われている。だが普段はそうでも、時々火を噴く。2011年12月の総選挙では、直後から翌年5月にかけて、表面上は「開票結果の操作」に、その実プーチンの大統領返り咲きに抗議する市民集会が相次いだ。選挙直後には、クレムリン近くの広場で5万人超の市民が気勢を上げた──これはプーチンも肝を冷やしたことだろう。
当時、SNSで市民に集会参加を呼びかけた野党指導者、反政府運動家はその後ほぼ殲滅され、SNSも情報が当局に筒抜けになるようにされた。「それでもCIAやMI6は選挙で仕掛けてくるだろう」と大統領府は疑い対策を練っているに違いない。
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