Ritsuko Shimizu
[東京 16日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で、中東情勢の緊迫化による事業への影響について聞いたところ、「すでに出ている」と「今後出る見込み」が合わせて84%にのぼった。燃料・原料の値上がりや調達難、輸送コストの上昇などに直面している。コスト高への対応として値上げを実施・検討していると回答した企業は7割近くで、消費者物価にも今後影響が出そうだ。
調査は4月1─10日に実施。発送企業は492社(資本金10億円以上の上場・非上場企業)で、212社が回答した。
事業への影響については「すでに出ている」が28%、「今後影響が出る見込み」が56%だった。特に化学製品、石油・窯業、鉄鋼・非鉄、食品の4業種は100%が「影響」と回答しており、打撃の大きさが表れている。一方、情報サービス・情報通信は「当面影響は想定しない」との回答が53%と過半を超えた。
具体的な影響は、燃料・原料の値上がりが89%と最も多く、輸送コストの上昇が67%、燃料・原料の調達難が55%と続いた。自動車メーカーでは顕在化している中東での事業展開の見直しや減速も、9%の企業が挙げた。
企業からは「中東向け輸出の減少、アルミ地金の調達不安」(輸送用機器)、「ナフサや中間品の供給不足でメーカーの生産が滞り、製品の出荷が低調になり、貨物量が減少することを危惧している」(運輸)などの声があった。「設備投資判断の延期」(建設)という指摘もあった。
コスト高を踏まえて価格転嫁を考えているか聞いたところ、7%は「すでに値上げした」と回答。「値上げを考えている」は62%にのぼった。繊維・紙・パルプ、化学製品、食品の3業種は「値上げ」が100%となっている。原油高が長期化すれば、物流費や光熱費などの上昇を通じて幅広い品目での値上げが家計の重石になりそうだ。
<利上げ、円安是正と中東不透明のせめぎあい>
原油価格の上昇は、コスト高となって多くの企業業績にマイナスに働く。どの程度の水準なら2026年度に増益を確保できるか聞いたところ、WTI原油先物で「81―100ドル」が42%、「80ドル以下」が28%、「101―120ドル」が24%となり、100ドル以下が計70%に達した。
「原油価格は製造の直材のような値上げ交渉は難しく、間接的な影響が予測され、製品への影響を証明し難く、価格転嫁の交渉が難航することが予見される」(輸送用機器)、「価格転嫁するにしても、すぐにはできないであろう。その間の影響は相当大きくなると想像している」(運輸)という。原油価格が直接事業に影響を及ぼさない不動産業からも「インフレ進行による金利高になると影響が出る」との指摘があった。
中東情勢の先行きが見えない中、市場では日銀による4月の利上げの織り込みは後退している。望ましい次の利上げの時期については「26年後半」が37%、「利上げは望まない」が30%、「27年以降」は16%だった。足元の4月は10%となっている。
企業からは「利上げしないと日本円が減価していくばかり。インフレが大変なことになりそう」(運輸)、「現下のいたずらな円安は引続き是正が必要」(卸売)と、円安是正のためにも利上げが必要とする声が多い。一方で「ホルムズ海峡の問題が落ち着き、経済の好循環が確認でき次第」(ゴム)、「原材料やエネルギー価格が大きく変動する中で、金利の変動が加わると景気減速の心配が出てくる。先行きの不透明感がある程度解消されてからの方が良いと思う」(情報サービス)と、中東問題の収束が必要との指摘も複数あった。