Takahiko Wada

[東京 27日 ロイター] - 日銀は27日、景気や物価に対して中立な実質金利である自然利子率について、最新のデータを踏まえるとマイナス0.9%程度からプラス0.5%程度と推計されると発表した。マ⁠イナス1.0%程度―プラス0.5%程度とした2024年公表の推計値を下限がわずかに上回ったが、「推計値には相当なばらつきがある」と指摘。金融政策運営に当たっては「実質金利と自然利子率の関係だけでなく、経済・物価・金融情勢を丁寧に確認しながら総合判断していく必要がある」⁠とした。

日銀が同日、再推計についての論文を公表した。

今回の推計は25年第3四半期時点のデータを用いた。23年第1四半期時点のデータをもとにし⁠た24年の推計に比べ、6つのうち4つのモデルで上方改定となった。コロナ禍に大きく落ち込んだ潜在成長率が緩やかに上昇していることや、賃金と物価がともに緩やかに上昇する状況が定着する中で、リスクテイクに前向きな動きが生じていることが影響していると分析している。

その一方で、実際の政策運営で活用するには「留意すべき⁠点が多い」と指摘。推計結果そのものに相当なばらつきや誤差がある点を挙げた。

例えば、推計に当たり利用データを追加すると、各⁠時点⁠の推計値が事後的に大きく遡及改定される問題がある。24年の推計に用いた23年第1四半期のデータでは、自然利子率の推計の下限がマイナス0.990%だったが、今回の推計で23年第1四半期の下限を見るとマイナス0.877%になっている。

日銀はまた、現在の推計モデルには「海外の経済・金融情勢が日本の自然利子率に及ぼす影響を必ずしも十分に考慮できていない」ことも指摘した。

今回⁠の推計結果に物価目標の2%を単純に足すと、中立金利は1.1―2.5%となる。仮に次回の利上げで政策金利が1%になっても、引き続き下限を下回っていることになる。しかし、日銀は利上げ判断に当たり、中立金利の推計を参照するものの、利上げ余地を縛るものではないとの立場だ。

1月の金融政策決定会合では、多くの委員が、中立金利の水準を事前に特定することは難しく「今後とも、利上げの都度、経済・物価面の影響を丁寧に確認しながら、その水準を探っていく必要がある」⁠と指摘した。

論文では、政策金利が次第に中立領域に近づいていく中にあって、2%物価目標をスムーズに実現していくためにも「金融緩和の度合いがどのように変化していくかを正しく評価することがこれまで以上に重要になってくる」とした。

自然利子率を巡っては、植田和男総裁が19日の記者会見で、再推計を行っており、準備が整い次第、公表することを検討していると明らかにしていた。

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