しかし、そのようなことをしている間に時間が過ぎ、本当にトランプが大統領でなくなり、唯一最大のチャンスを失えば、もう二度と朝鮮半島の平和体制は来ないだろう。

習近平は金正恩の「本気度」を信じたからこそ、3回も訪中を受け入れ、「人道的支援」を約束し、「段階的非核化」も受け入れた。

だから、なんとしてもその「本気度」を先に見せてほしいというのが中国の姿勢だ。

もう一つの理由である、トランプが「北朝鮮が非核化を遅らせている原因は中国にある」というニュアンスのツイッターを投稿していることを考えてみよう。

そのような状況の中で「習近平と金正恩」が並んで手を振る図は、見せるわけにはいかないだろう。だから習近平は行くのをやめた。

この視点から言うと、やはり「習近平よりもトランプが強い」「トランプの方が上だ」ということが言える。いまこの時点での力関係は、トランプの勝ちなのである

習近平の欠席は、以上のことを、われわれに教えてくれる。

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[執筆者]遠藤 誉 1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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