Laura Matthews Lewis Krauskopf Suzanne McGee

[ニューヨーク 3日 ロイター] - 投資家は中東紛争の長期化によって新たなインフレ懸念が再燃し、今後数カ月の利下げ論拠が弱まるとともに、景気が減速する可能性に備え始めている。

米国とイスラエルが先週末にイランへの攻撃を開始したこと⁠を受け、3日の金融市場では前日に続き資産価格が乱高下した。世界の石油供給量の約2割が通過する要衝ホルムズ海峡の通航混乱により、エネルギー価格主導でインフレが急加速するリスクが高まっている。

ノーザン・トラスト・アセット・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ジョセフ・タニアス氏は「昨日から基本的に大きな変化はないが、投資家⁠は戦争の継続期間やエネルギー価格への影響に懸念を強めている」と指摘。「紛争が長期化すれば世界経済の成長が鈍化し、インフレ圧力が再燃する可能性があ⁠るという現実を認識しつつある」と述べた。

原油価格が2日連続で急騰する中、米主要株価指数は下落し、S&P500種 は0.9%安で終了。序盤の安値からは下げ幅を縮小したものの、S&P500は3カ月超ぶりの安値を付け、全11業種が下落するなど幅広い売りが見られた。

投資家の不安心理を示す「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数も3カ月超ぶりの高水準を付けた。

リサーチ・アフィリエイツの株式戦略担当最高投資責任者クエ・グエン氏は「市場の反応は激しさを増してい⁠る。早期解決の兆しは見られない」と指摘。「(投資家は)事態が想定以上に複雑だという事実に気づき始めている」と述べた。

投資家の関心は原油価格の持続的な上昇がもたら⁠すインフ⁠レ圧力に集まっている。3日の北海ブレント先物は1バレル=81ドル前後と、年初の約60ドルから上昇している。

米物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が3日終盤時点で2.503%と、先月11日以来の高水準となった。

ゴールドマン・サックスのエコノミストは、原油価格が持続的に10%上昇した場合、消費者物価指数(CPI)が28ベーシスポイント(bp)上昇すると試算している。

一方、市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退しているもようだ。

CMEのフェドウオ⁠ッチによると、3日時点でフェデラル・ファンド(FF)金利先物が示す6月の金利据え置きの確率は56%となった。先月終盤時点では、6月の利下げ確率が50%超織り込まれていた。

ホライゾン・インベストメント・サービスのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「(投資家が)見極めようとしている最大の問題は、インフレと金利の絡み合いに帰着する」と指摘した。

イラン紛争による株価下落をすでに買い場と捉えている投資家もいる。

キー・アドバイザーズ・ウェルス・マネジメントのエディ・ガボールCEOは「ハイテク株で得た資金を、世界的な経済成長加速に向けた積極的なポジション構築に充てている」と述べた。同社は今週、新興国市場ETF(上場投資信託)を買い⁠増している。

S&P500の下げは今のところ、史上最高値から2%強にとどまっている。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、アンドルー・スリモン氏は市場の底堅さについて「地政学リスクを過小評価している可能性がある」と述べた。

投資家は今後数日の展開を注意深く見守ることになる。

チャールズ・シュワブのマクロ調査・戦略責任者ケビン・ゴードン氏は「われわれは依然としてニュースの見出しに左右される」とし、「市場の一部で急激な反動が生じる可能性は非常に高い」と述べた。

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