つまり、ベビーブーム世代からの「大規模な富の移転」は期待できそうもない。スピーゲルマンの見立てでは、「あの世代の資産の大部分は医療費や介護費に消えてしまう可能性が高い」。

医療や介護の費用に加えて税負担があり、さらにアメリカには「相続した年金口座の残高は10年以内に引き出さねばならない」という規則があり、引き出せば税金がかかる。だから手元に残る相続額は、遺族の期待をかなり下回ることになるだろう。

世代間の資産移転で経済格差が縮小するなどという話は大ウソだ。スピーゲルマンによれば「お金が動くのは確かだが、その大半は移転の過程で吸収されてしまう」。

超の付く大金持ちは別として、とスピーゲルマンは言った。「相続で大金が転がり込むと期待するのは間違いだ。今の世の中では高齢者の富がどんどん食い尽くされ、子の世代に届く前にほとんど消えてしまう」。ああ無情。

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