Lucia Mutikani
[ワシントン 11日 ロイター] - 米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇した。前月の2.7%上昇から加速、1月以来の大幅な伸びとなった。
ただ、労働市場が下振れ傾向にある中、スタグフレーションを巡る懸念を高めかねず、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げに動くという見方を支える内容となった。
物価の「瞬間風速」を反映する前月比は、住居費や食料価格の上昇を背景に0.4%上昇し、前月の0.2%上昇から加速。伸びは前月比でも1月以来の高さとなった。
ロイター調査によるエコノミスト予想は、前年比2.9%、前月比0.3%上昇だった。
トランプ米大統領が進める大規模な関税措置に対応するために企業がコスト増を消費者に転嫁したことなどで、物価は広範に上昇。関税措置の影響は現時点では緩やかだが、関税前の企業による在庫積み上げは尽きつつあり、物価上昇は加速するとみられている。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「予想を幾分上回ったが、FRBに来週の利下げをちゅうちょさせることはないだろう」と述べた。
ロヨラメアリーマウント大学のソン・ウォン・ソン教授(金融・経済学)も「9月の利下げは既定路線といえる」と指摘。ただ「インフレの上昇と雇用の減速が相まって、FRBは難しい舵取りを迫られている。利下げを急ぎすぎれば関税措置に起因するインフレが定着する恐れがある一方、利下げで後手に回れば失業の拡大を助長しかねない」とし、先行きの動向は不透明との見方を示した。
<コア指数前月比0.3%上昇、前年比3.1%上昇>
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.3%上昇、前年比3.1%上昇で、伸びはともに前月と変わらず。
食品価格は0.5%上昇。野菜、果物、肉類などの生鮮食品や、コーヒーなどが値上がりした。
エネルギー価格は0.7%上昇。ガソリン価格が1.9%上昇した。
新車、衣料品、家庭用家具など関税の影響を受けやすい品目で値上がりが目立ち、コアの財(モノ)価格は0.3%上昇。中古車・トラックは1.0%上昇した。
サービス価格は0.3%上昇。帰属家賃が前月比0.4%上昇したほか、ホテルなどの宿泊費が2.3%、航空運賃が5.9%、それぞれ上昇した。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「関税措置に起因するコスト増の拡大が見込まれるため、来年初めにかけて月次ベースのモノの価格のインフレ率は高止まりする公算が大きい」と指摘。ただ「労働市場の弱さのほか、消費者の選別的な購買行動、インフレ期待の固定化を踏まえると、サービス価格への波及は限定される」と述べた。
金利先物市場では、FRBが来週16ー17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を含め、年内残り3回の会合でそれぞれ0.25%ポイントの利下げを実施すると見込まれている。
また、来年1月の会合で4回連続で利下げに踏み切る確率も50%に迫っている。