ナエフ氏の解任を支持した委員会メンバーからの電話は録音され、宮廷顧問がそれをナエフ氏に聴かせた。ナエフ氏に反対する勢力の強さを示し、57歳になる皇太子から抵抗の気力を奪うためだ。

王室に近いサウジアラビアの情報提供者2人によれば、ナエフ氏の解任に反対した「忠誠委員会」の3人は、アフメド・ビン・アブドルアジズ元内相、故アブドラ国王一家を代表するアブドルアジズ・ビン・アブドラ氏、そして元リヤド副知事のムハンマド・ビン・サウード氏だった。この3氏のコメントを得ることはできなかった。

明け方、ナエフ氏は降参した。彼は宮廷顧問に対し、国王に会う用意があると告げた。この謁見は短時間だった。ナエフ氏は解任を受け入れ、文書に署名した。

宮廷顧問によれば、ナエフ氏が王宮を離れたとき、サルマン氏が待っていたことに驚いていたという。テレビカメラが回されるなか、ナエフ氏はサルマン氏による抱擁とキスを受けた。

まもなく、息子を次の皇太子にするという国王の決定を伝える、前もって準備されていた声明が発表された。その後の数時間、あるいは数日にわたりサウジアラビアや湾岸諸国のあらゆるメディアで流れることになった映像である。

自宅軟禁

解任後、ナエフ氏は人前に現れないよう自宅軟禁状態に置かれており、近親者以外の訪問は許されていない。

ナエフ氏に近い筋によれば、同氏は電話にも出ないという。この1週間、彼が外出を許されたのは高齢の母親を訪れたときだけで、新たに割り当てられた護衛が同行したという。だが前出のサウジ高官によれば、ナエフ氏は国王や新皇太子などの訪問を受けているという。

ナエフ氏に近い筋によれば、同氏は家族とともにスイスかロンドンに移ることを希望しているが、国王と新皇太子は、ナエフ氏が国内にとどまることを決めていたという。「彼に選択の余地はなかった」

米国政府と中央情報局(CIA)はコメントを拒んでいる。政府高官によれば、米国政府はサルマン氏がサウジ国王のお気に入りであることは了解しているが、「それ以上のことは非常に不透明だ」という。

即位以来、現国王がナエフ氏よりもサルマン氏を重視している様子は明らかで、若き皇太子がかつての王位継承者に取って代わるための状況は整っていた。

サルマン氏は衰えの見える実父の現国王から前例のないほどの権力を委譲されており、外交関係者やサウジの政治・情報関係筋によれば、その権力を駆使して、ナエフ氏の了解を得ないまま政治、石油、安全保障、情報といった分野のトップを再編してきたという。

現国王がわずか2年前に即位して以来、サルマン氏は側近を要職に据えてきた。またナエフ氏が統括する内務省にも介入し、同氏に通知することなく、官僚の任命・昇進・解任を行ってきた。

早くも譲位の準備も