ゆとりある生活を送る年配の婦人アナベル・ドナルドさんは、自宅アパートを、行き場のない住人6人に貸している。

火災が起きた夜、ドナルドさんはパジャマ姿で近くの教会に駆けつけ、避難してきた人たちのためにお茶を入れたり、子供たちにおもちゃをあげたり、大勢が利用するトイレを清掃するなど、できる限りの手助けを行った。

裕福な側の住民ではあるが、ドナルドさんは、保守党が主導するケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区の行政の在り方に対する怒りを共有している。

「ゆとりのない人たちは、自分たちには何もなく、一方で特権階級が全てを手にしている、と感じている。それは全く真実だと思う」とドナルドさんは言う。

彼女は、増税で公共住宅や他の公共サービスへの支出を拡充することは簡単にできるのに、地区の税金が不必要に低く抑えられていると批判する。地区税の負担増があれば、喜んで応じる考えだと語った。

「行政は、倹約する地区であることを自慢に思っている。ある種の人々を喜ばすことができると思ってやっているのだ」と彼女は言う。

火災の衝撃が社会に広まる一方で、社会的な分断はいつもより重要でなくなったと感じているという。

「教会で手助けしていた時ほど、地域で受け入れられたと感じたことはなかった。彼らは、私がどちら側の人間か、まったく気にしなかった。彼らの子供たちと遊んだり、おむつを替えたり、お茶やコーヒーを用意したりしたことだけが、重要だった」とドナルドさんは語った。

(Estelle Shirbon記者、Alistair Smout記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

[ロイター]
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