書いたばかりのマンダラの周辺セル、その一つひとつをさらに展開させます。

 次のマンダラの真ん中には「取っ手?」と書きます。このコンセプトを新商品に発展させるには、何が必要でしょうか? この問いに対して周辺の8つのセルを再び埋めていきます。

「指が2本入る」

「人間工学」

「子どもでも持ちやすい」

「日本調のデザイン」

「滑らない」などなど。

 もし事前に「取材」ができていたらもっと良い要素が見つかるかもしれません。

 取っ手といえば、この前雑誌で見たユニバーサルデザインも関係あるかな? と思い出して、「ユニバーサルD」と埋める。

 ユニバーサルデザインで持ちやすい......右手でも左手でも持ちやすいか? と思いついて、「RもLもOK」と書き込む。

 そういえばこの前入ったカフェでカフェオレを頼んだら取っ手のない大きなボウルみたいなのが出てきたな。「フランスって取っ手のないカップで飲むんです」とか店員が言ってたけどホントかいな?

 で、「取っ手ナシ」。

 これで8つ。

 すでに取っ手だけでも8つのバリエーションがある商品コンセプトが生まれています。この後は「取っ手 その2」に行ってもよいですし、お次のコンセプト案「カラーリング」を展開させても。

 8つの切り口があって、それぞれをまた8つ展開できたら8×8=64の新商品企画につながる要素が生まれたことになります。単純計算ですが、これらの要素の数学上の組み合わせの可能性は億どころか兆の単位でも収まりません! とんでもなく効率的に、新しいアイデアを数多く作ることができるのです。

 もちろん、本当の新商品としての企画になるまでにはコンセプトの検討と選択、そして実現度のチェックが必要ですが、その前提となる数多くの選択肢をいとも簡単に生み出すことができる考具がこのマンダラート。

 雑誌で見たユニバーサルデザインの話や、たまたま飲んだカフェオレの体験もヒントになってくれました。おそらくマグカップについて考えることがなければ、あの取っ手のないボウルのことは思い出さなかったでしょう。

 普段の生活で積み重なった記憶を引っ張り出し、組み合わせるだけでも、新しいアイデアがたちどころに誕生するのです。当然ながらマグカップについての深い知識があれば、またマグカップが使われるときのシーンを思い浮かべられたら、さらに拡がるはずです。

 さらに男性と女性とでは出てくる言葉が違うはずですし、気がつく点、改良して欲しい点も違うはずです。2人で持ち寄ったら、収拾がつかないほどのアイデア数になりそうですね。自分1人だとしても七色いんこ(考具その4)してください。指がもっと小さかったら、もっとごつかったら......どんなマグカップが売れるんでしょうね?

 必要なのは、8本の線が引いてあるだけの紙。

 この不思議なマンダラートはデザイナーの今泉浩晃さんが開発された手法です。

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