<世界各国で社会現象となった「ポケモンGO」はファミコンで育った世代のノスタルジアをかき立てる。ゲームボーイをスマホに替えてモンスターをゲットしろ!>

 ポケモンGOが人々を魅了するパワーを、私は素直に認めたくなかった。

 私は任天堂と共に育った世代だ。『ゼルダの伝説』や『ゴールデンアイ007』などのゲームに熱中し、10代前半はゲームボーイを手放さなかった(ポケットモンスターの赤バージョンと緑バージョンのソフトを取っ替え引っ替えした)。

 でも、ポケモンの新しいゲームが登場して、スマートフォンを握り締めた大人がゾンビの集団よろしくナッシーを追い掛けているらしいと知っても、自分には関係のないことだと言い聞かせていた――はずなのに。

 ポケモンGOの魔の手に落ちた瞬間のことは、はっきり覚えている。7月7日木曜日の夜。雨が降っていた。ブルックリンのグリーンポイント・アベニュー駅で地下鉄を降りた私は傘がなく、軒下でiPhoneを手に時間を持て余していた。

 そういうときが危険なのだ。気が付くと、私はアップストアにアクセスしていた。

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 大急ぎで登録して(慌て過ぎて、プレーヤー名として表示されるニックネームにおかしな名前を付けてしまった)、設定のページに進み、ようやく音声を消すことができた。信じられないくらい大きな音が出ていたから、背後の雑貨店にいた男性には聞こえていたに違いない。

 続けて画面上のボタンを片っ端から押し、モンスターボール(これを投げてポケモンを捕獲する)をかなり無駄にして、ゲームのやり方を確認した。そして、私は魔法に掛けられた。

恋人を置き去りにして

 その夜のうちに、たくさんポケモンを捕まえた。自宅のテーブルでは、ケールの蒸し煮の上でビードルがジャンプしていた。

 友人たちと行ったバーにはドードーが隠れていた。店の裏口を出ると、暗闇の中にスマホを持った人たちとケンタロスがいた。私は時々「新鮮な空気を吸いに」店を出た。辺りを歩いてポケモンを探す、という意味だ。

 とはいえ、この手のアプリは、ほろ酔い気分のときに楽しいだけ。アプリを閉じて一晩寝たらおしまい――のはずだった。

 そして翌日、私は完全にはまっていた。

 最初に忠告しておこう。大切な友人やパートナーと一緒にプレーしないほうが無難だ。結局は競い合うことになる。

まるで催眠術