その上で、李克強は南シナ海判決に関して、カンボジアが中国側を支持するように求めたのである。
それに対してフンセン首相は、「カンボジアは当事国同士が対話を通して協商することを支持する」と回答している。
カンボジアの場合は、アメリカと旧ソ連との板挟みになり複雑な歴史をたどりながら、(基本的にはアメリカ勢力によって)国外追放になったシハヌーク国王を受け入れたのは中国だった。だからシハヌーク国王の墓は北京にある。
そういう深い関係もあり、中国とカンボジアは、ことのほか親密だ。
絶対に中国の肩を持つ国々は?
外交関係では、なかなか「絶対に」ということは言えないが、しかし3カ国を挙げるとすれば「パキスタン、カンボジア、ラオス」を挙げることができる。
ASEAN関連の会議で、ASEAN内陸国のカンボジアとラオスを自国側に引きつけておくことは、中国にとっては戦略的に不可欠だ。
ASEAN外相会議だろうとASEAN拡大外相会議(ASEAN諸国+日米中露豪EU...などが参加)だろうと、カンボジアとラオスがいる限り、ASEAN諸国が一致して中国に不利な共同声明を出すことはできない。
特にASEAN会議では「全員の一致」が要求されるので、カンボジアとラオスを通して、中国の望みは叶えられるのである。
ましていわんや、今回はラオスが議長国。
今ではチャイナマネーが「国際秩序」をも買ってしまっているのである。
中国の過度なほどの自信と傲慢さの原因は、ここにある。
その中国、実は根幹的な弱点を抱えている。
それは中華人民共和国を誕生させた毛沢東と中国共産党に関する秘密を、中国が隠し通していることである。その秘密を中国人民が知った時に、中国共産党は統治の正当性を失い、中国共産党政権はたちどころに滅びるだろう。
その秘密は、拙著『毛沢東――日本軍と共謀した男』に書いた通りだ。
これを隠し続けていたいために激しい言論弾圧とともに強硬姿勢に出る。
しかし日本の世論には、先の戦争への贖罪意識が働くのか、この「決定的な力を持っている事実」を、正視する勇気はないらしい。
どうも筆者には、中国の顔色を窺っているように思えてならないのだが、あるいは、チャイナマネーが至るところで力を発揮しているのだろうか......。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。