<古いスクールバスを購入して改造、家族5人は二度と普通の生活には戻らない旅に出た>

米カリフォルニア州ロサンゼルス郡では約1万6000もの人々が住居を持たず車上で暮らす。ブラジルから来たレイス夫婦とその3人の子供たちもそのうちの1組。「わが家」はスクールバスだ。

夫のイスマエルはもともと英語の教師をしていたが、「アメリカンドリーム」を夢見て一家で渡米。レストランで働くうちにすぐにブラジルでの生活以上の物質的豊かさを得た。しかしそこに本当の幸福はないと考えた夫婦は、新しいライフスタイルを試そうと、古いスクールバスを購入して改造。東部を出発し、アメリカ大陸を横断して目的地である西海岸にやって来た。

道のりは苦難の連続だった。妻グレイスは中絶手術を受け、末っ子は大けが、バスも故障。燃料代や食費のため、金策に奔走する日々。絶望し、長年のモルモン教の信仰も捨てた。

それでも車上生活で子供たちと過ごす時間は増え、家族の絆は深まったと夫婦は言う。

この旅は「片道切符」と思い定め、二度と普通の生活には戻らないつもりだ。レイス一家と出会った写真家のドタン・サガイが、一家の日々に寄り添いモノクロ写真集『ノーウェア・トゥー・ゴー・バット・エブリウェア』を作り上げた。

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ロサンゼルスに到着したときに10歳、5歳、2歳だった子供たちへの教育方針は家父長的制度への反発から「ルールなし」で何も強制しないことを信条としている
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水は節約して使わなければいけない
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一緒にいる時間が増えたことで夫婦同士がもっと分かり合えるようになり子供たちのこともよく見てあげられるようになったとイスマエル
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バスの中が全て子供たちの遊び場で勉強も夫婦が教える

Photographs from "Nowhere to go but Everywhere" by Dotan Saguy, published by Kehrer Verlag