<「自分を取り戻したい」──出産を経験した母親たちの口から、何度も聞かれる言葉だ。体も、生活も、価値観も変わる。けれど、その中で「かつての自分」と「今の自分」をどうつなぎ直すのか>

母親になると、すべてが変わる。体も、アイデンティティも、そして脳までもだ。この変化には名称がある。「マトレッセンス」と呼ばれ、母親になる過程で人間関係、ホルモン、優先順位、感情などが再構築される現象である。

臨床心理学者アン・ウェルシュ博士は本誌にこう語っている。「母親たちが『自分を取り戻したい』と言うとき、それは、変わってしまった自分と、かつての自分をもう一度つなぎ合わせたいという願いなのです」

「つまり、自分の人生が大きく変わった中で、自分自身を再び見つけたいという思いです。でも実際のところ、私たちは以前の自分に戻るわけではありません。新しい自分へと進化するのです」

近年の神経画像研究によると、妊娠は単なる身体的な変化にとどまらず、母親の脳の構造にも影響を与えることが分かっている。

代表的な研究のひとつでは、初めて妊娠した女性の脳を分析した結果、思考や感情、情報処理に関わる灰白質の体積が最大で約4.9%減少していることが確認された。

この変化は、観察対象となった脳領域の多く(およそ9割)で認められ、出産にともなう神経構造の適応を示すものと考えられている。

さらに、こうした構造変化の一部は出産後も数年間にわたり持続することが分かっている。出産から6年経っても、母親の脳は妊娠経験のない女性の脳と明確に区別できるという。

以下では、8人の母親が出産後に「自分らしさ」を取り戻すためにどのような方法を見出したのかを紹介する。

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