データセンター建設が地域の生態系にも影響

同市では日本最大規模の物流・データセンター開発を進めるにあたり、大量の取水が、地下水や既存井戸、湧水に影響するのではないかとの懸念が市民から示されたという。おいしい水で知られる市にとって、これは死活問題であるだろう。

だが当然のことながら、これは昭島市だけの問題ではない。


 千葉県印西市は、すでに約30棟のデータセンターが集積し、「データセンター銀座」とも呼ばれています。ここでは、冷却後の温排水や排熱が周辺環境に与える影響が懸念されており、とくにホタルや湿地の植物など、地域の生態系への影響が問題視されています。(151ページより)

無視できないのは、「地域の生態系」という部分だ。水の奪い合いが影響を及ぼすのは、当然ながら、人間の生活だけではない。

もちろんテクノロジーの恩恵は大きく、それ自体を否定することはできない。しかし進化の一方で、小学校の授業で教わったような"基本的だが大切なこと"が失われようとしているのだとすれば、この現実にもっと目を向けなければならないだろう。

『水の戦争』
水の戦争
 橋本淳司・著
 文春新書

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

人類は古くから、水を引き、貯め、流し、分けることで社会を築いてきた。つまり「水を操る」という行為は、人間が手放すことのなかった本質的な営みのひとつである――。
「AIに使われるか、AIを従えるか」 一橋大学が問う、エージェント時代の「次世代エグゼクティブ」の条件
「AIに使われるか、AIを従えるか」 一橋大学が問う、エージェント時代の「次世代エグゼクティブ」の条件
【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます