実際に治療に使用するためには課題も
統計的に見ても結果は信頼性が高く、効果の大きさも一般的な基準を大きく上回っていた。葛藤が弱い時と葛藤が強い時とでは、脳の活動に明確な違いが現れていた。
ストッカーは「現在の不安の診断や治療には時間がかかり、薬の処方も試行錯誤しながらということが多い。人によっては、どの治療も効かないこともある。不安を伴う勝ち目のない状況で、脳がどのように反応するかを理解すれば、意思決定が困難になる根本的なパターンを特定できるようになる」と強調する。
「脳のトレーニングや心理療法といった薬に頼らない新たなアプローチによって、不安が発生するパターンを狙い撃ちする道が開ける。例えば、ある人が自身の脳が不安のループに陥っていることを自覚し、不安が大きくなる前に対処できるよう訓練できるようになるかもしれない。このような新たな治療法は、脳波計と不安の神経的パターンを活用すれば実現可能だという好例だ」
一方、ストッカーは、個人差の考慮、技術やデバイスの信頼性の検証、そして脳の反応パターンがすべての人に明確に現れるとは限らないことなど、今後の課題も認めている。
実際、「今回の研究は、不安をより客観的に特定する方法に一歩近づくものだが、臨床的判断に代わるものにはならないだろう。診断を補助し、臨床医がすでに観察している所見を裏付ける『追加のツール』として最も有効に機能するだろう」とも述べている。
「しかし、脳の個人差を考慮に入れ、この問題に取り組むことを今後の研究で目指している」
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