子育てほど「コスパ」「タイパ」の悪いものはない

子どもの家庭学習を塾に託したい、すなわち「丸投げ」することで親の負担をなくしたいと望む親も多い。同じ理由で、複数の進学塾を掛け持ちさせることも珍しくない。言うまでもなく、そうすれば親の負担が減るからである。

それは、親の「顧客意識」の変化にあるのではないかと著者は推測する。昨今は「金を払えば、自分の思い通りにことが運ぶ」という価値観がはびこりすぎているのではないかということだ。

学習塾や施設教育機関がサービス業であることは間違いない。しかし、だからといって、そういったサービス業に「金を払ってわが子を託せばなんとかなる」という発想は行き過ぎている。

確かに、稼いだ金をどう使うかは、稼いだ当事者が決めることではある。だが子育ては、丸投げすればどうにかなるというものではない。ましてや、「コスパ」や「タイパ」の問題でもない。

親なら誰もが実感できることだが、子育てほど「コスパ」「タイパ」の悪いものはないからだ。子育てには膨大な費用がかかるし、自立するまで根気よく接し、見守っていかなければならない。効率の問題ではないし、効率以上の価値があるからこそ、人間は子を育てるのだ。私はそう思う。

著者のもとには、「仕事と育児の両立なんて不可能だ」「共働きだと物理的に時間が足りない」「むしろ父親が家庭をないがしろにすることが問題の本質ではないか?」というような反論も届いているようだ。

子どもにとって、親は「世界」そのものだから
【関連記事】