実はアクション映画で、意図せずおかしさも備えてしまった作品というのは少なくない。深刻なトーンで描こうとするあまり、その重さを映画が支え切れなくなり、笑いを呼んでしまうのだ。

キートンと相通じる特徴

だが『ジョン・ウィック』シリーズは、意図的に笑いを取ろうとしている。面白いのが分かっていてわざと入れているのでなければ、あんなベタなせりふや場面が出てくるはずがない。

なかでもベタな場面の面白さをよく理解しているのは、シリーズの主人公ジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーブスに違いない。今でこそアクションスターとして知られる彼だが、ブレイクのきっかけはコメディー映画だった。

『ジョン・ウィック』シリーズでリーブスは、おかしさを最大限、引き出すための演出にも大きく関わっている。例えば自分のせりふを必要最低限まで削ったり、各シーンについて監督とアイデアを出し合ったり......。ただでさえ少ないせりふを、彼は他の出演者より25%くらいゆっくりとしゃべっている。観客への「これはお笑い映画だぞ」というメッセージではないか。

シリーズ全体が、映画『ブルース・ブラザース』で追っ手のパトカー同士が次から次へと衝突を起こす場面の拡大版みたいなものだと言ってもいい。ばかばかしくて、意味深長な間合いがいっぱいある。 

お決まりの展開が大切