年をとればとるほど性的な接触が大切になる

さらに次のような興味深い調査もあります。

日本性科学会が40代~70代の約1000組の夫婦を対象に「どんな性関係が望ましいか」ということについてアンケート調査しました。その結果、男性で一番多かったのが「性交渉を伴う愛情関係」だったのに対して、女性の半数以上は「性交渉を持たない精神的な愛情やいたわりの関係」という回答でした。

女性のアンケート用紙の中には、「頭をなでてほしい。髪の毛に触れてほしい。性交渉をともなわない接触を望んでいる」(76歳)や「触れ合ったり、ハグし合ったりして、心のつながりや温かさを感じることで十分」(65歳)と書かれたものなどがあり、女性はセックスそのものよりも夫とのスキンシップを望んでいる人が多いことがわかりました。

その他、いろいろな調査から見えてきたのは、高齢者が望む性的関係として、男性は「性行為」への関心が高く、女性は性行為そのものよりも「スキンシップ」や「精神的な愛情やつながり」などを求める傾向にあることでした。

スキンシップとは、互いの身体や肌の一部を触れ合わせることにより親密感や帰属感を高め、一体感を共有しあう行為のことを言います。

つまり、年をとればとるほど性的な接触が大切になるということですが、日本人の高齢者の多くは、恥ずかしさもあってか、そういう「本音の話」を話題にしません。

仮に、そういうことを話している人がいると、「いい年をした男が・女が」とか「年甲斐もない」みたいに蔑まれる風潮さえあります。

性的な接触を否定したり忌むべきではありません。

いくつになっても刺激を求めて生きることは、QOL(生活の質)の維持や生きがいにもつながる大切なことなのです。

セックスで分泌される「幸せホルモン」の重要性

私たちの体には肌と肌が触れ合うことで「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。

オキシトシンは脳の視床下部から分泌されるホルモンで、集中力を高め、ポジティブになるなど幸福感が高まるため「幸せホルモン」とも言われているものです。

オキシトシンが分泌されると、心身ともにリラックスし、ストレスが軽減されます。

セックスの最中にも分泌され、互いに絆を強く感じるようなはたらきをします。

要するに、人は肌を触れ合わせることによって心が落ち着き、幸福を感じて精神的にも落ち着くことができます。

逆に、人とのスキンシップの機会が不足していると、不安や心配で心の落ち着きがなくなり、気持ちもネガティブな方向に進んでしまうということです。

このことは科学的にも証明されています。

じつは、コロナ禍で他者との関わりが制限されたため、人との触れ合いが十分にできず、いわゆる「スキンハンガー」を生じる人が急増しました。

スキンハンガー(skin hunger)とは、「皮膚接触渇望」あるいは「肌のぬくもりへの飢餓」という意味です。

スキンハンガーが生じると、気分の落ち込みや不安に陥りやすくなり、孤独感を招き、最悪のばあい、孤独死といった事態にもなりかねません。

「何かに触りたい」という日本人の欲求に変化
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