『28日後...』は01年の9.11テロ以前から企画が進んでいたが、公開は翌02年。目に見えない侵略勢力に対する偏執的な恐怖が、新しい世界秩序を象徴するかのように受け止められた。

続く『28週後...』は、ウイルスで破壊されたイギリスをアメリカ主導でNATO軍が復興しようとする設定を、多くの批評家がイラク戦争の寓話と解釈した。

そして、新型コロナウイルスのパンデミックとブレグジット(イギリスのEU離脱)を経た『28年後...』は、ヨーロッパ大陸から孤立して「呪われた」「触れてはならない」島国となったイギリスを描く。

その象徴的な意味が言葉を尽くして説明されていないことは、私たちにとって幸いなのだろう。荒々しく騒々しいゾンビスリラーのグロテスクな表層の下には、より深く、より捉え難い恐怖が潜んでいるのかもしれない。

もっとも、心配は要らない。あなたはそんなことを憂う暇もなく、切り落とされた頭部を振り回す巨大なゾンビたちに追いかけられることになるのだから。

©2025 The Slate Group

28 YEARS LATER

28年後...

監督╱ダニー・ボイル

出演╱アルフィー・ウィリアムズ

アーロン・テイラージョンソン

レイフ・ファインズ

日本公開中

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます