<動物虐待、環境汚染......バッシングを乗り越え、年代物からフェイクまで。ファーが奇跡的にカムバックできた理由>

十数年前、友人の別荘でのパーティーが終わって自分のコートを取りに行った。ウールのオーバーやダウンの山から私のコートはすぐ見つかった。信じられないほど柔らかい、深い赤褐色のミンクのコートだったから。

コートをドレスの上に羽織ると、部屋の反対側にいた20代くらいの若者たちの話し声が聞こえた。女性の1人が「毛皮は殺戮」と言ったが、私のことじゃないと思うことにして聞き流した。すると彼女は、今度は叫ぶような大声で「毛皮は殺戮!」と繰り返した。

明らかな当てこすりに少し驚いてそちらを見たが、彼女は私と目を合わせようとはしなかった。

反論する気にもならなかったが、そのコートは大おばの形見で、手持ちのコートの中で一番暖かくて高価だった。しまい込んでおくより有効活用するほうが、死んだミンクのためにもましだと思った。

それに私は菜食主義で毎食アニマルウェルフェア(動物福祉)と環境の持続可能性を最優先していた。

この数カ月、私は当時のことを考えている。2025秋冬シーズン、毛皮がファッショントレンドの主流に返り咲いたからだ。2月下旬から3月にかけてニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリで開催されたコレクションにはファーを使った作品が続々登場。

「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」は石器時代の女性が着けそうな毛皮のブラジャー、「ヴァレンティノ(Valentino)」は艶やかなミンクで縁取ったクロップドブレザーという具合だ。

「シモーン・ロシャ」2025-26年秋冬コレクション
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