ブッダが「縁を大切にせよ」と説いた理由

人間関係に限らず、あらゆる命や物事は相互に関係しており、その関係の上に私たちの人生が成り立っている。

この「ありよう」を、仏教では「縁」と呼ぶ。私たちは他者とのつながりの中で生きており、その縁を大切にすることが幸福につながるのだ。

では「縁を大切にする」とは、何か。それは「慈悲心」を育てることだ。慈悲心とは、慈(じ)・悲(ひ)・喜(き)・捨(しゃ)の四つの心。

慈:出会う人を「友」として仲良くしようと務める心

悲:友の悲しみや困りごとに、自分ごとのように寄り添う心

喜:友の喜びを、自分ごとのように喜ぶ心

捨:友に対して、平等に、冷静に接する心

いま、あなたの近くに誰がいるか

これら四つの心は、私たちが「愛」と呼び大切にしている、本能的感情ではない。

好きになった恋人や、血を分けた家族。これらの人を思いやるのに、努力はいらない。

けれども、出会う人、出会う命を平等に慈しみ、哀れみ、ともに喜ぶ心は、意図して、努力して育てなければ育たない。

年齢を重ねることによって、友人関係が減少するのは自然なことであるし、一人で生きることが必ずしも悪いわけではない。時には孤独を受け入れ、それを自己成長の糧とすることが大切である。

しかし何歳になっても、人生のどんなステージにおいても、他人に対して慈悲心をもって接しているならば、あなたの近くには必ず、信頼できる良好な人間関係が築かれているはずだ。

私たちは人生の中でさまざまな縁に恵まれている。縁に揉まれながら、縁の中で自分自身を見つめ直し、少しずつでも、少しでも、善き人間関係を築いていくことが、健康的で幸福な人生を歩む鍵となるのだ。

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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