ダートマス大学のナクリスも本誌に、この対立によって、最高裁が再び関与せざるを得なくなる可能性があると述べた。

「そうなれば最高裁は、『促進』と『実施』の区別の明確化を迫られることになるかもしれないし、裁判所と行政府の権限をめぐってもいくつかの重要な疑問に明確な答えを出すことを迫られる可能性がある」

最高裁は、先週の判断を下した際に、アブレゴ=ガルシアは「適正な法の手続き」に従って、法廷で自身の申し立てを主張する権利を保障されていることを強調した。アブレゴ=ガルシアはこの適正手続なしに連行され、エルサルバドルの刑務所に収監されているのだ。

だが米政府の見解では、アブレゴ=ガルシアは不法入国した人物であり、最終的な退去命令を受けており、またギャング団のメンバーであるため、その処遇については政府に決定権限がある。

「政治的にデリケートな問題について、(行政府と司法府の)どちらの解釈が優越するかをめぐる緊張関係は、米国の憲法と政治史に織り込まれている」とナクリスは述べる。

2019年の裁判所判断では、アブレゴ=ガルシアの国外追放は可能とされたが、同時に、迫害の恐れがあるためエルサルバドルへの送還はできないとの判断も示され、事実上、追放は回避されていた。

(翻訳:ガリレオ他)

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