ラインの手法は画期的ではないものの、巧妙でスタイリッシュだ。サントラには、INXSやジョージ・マイケルのセクシーなヒット曲の数々を効果的に使っている。

キッドマンの演技に共感

競争心にあふれ、完璧さを求めて不安定になる女性を、キッドマンは過去にも演じている(例えば映画『誘う女(To Die For)』やドラマ『ビッグ・リトル・ライズ(Big Little Lies)』)。だが、その演技はこれまで以上。好感は持てないのに、心の奥底に不安を抱く人物像に共感してしまう。

裸になった姿を美しいと称賛するサミュエルに、ロミーは涙を浮かべて「私はきれいじゃない」と繰り返す。キッドマンのように神々しいほど美しい体の女性でも、自分の容姿への不快感や醜形恐怖にさいなまれるとは......。

そんなものは羞恥心と一緒に捨て去ってしまえと、本作はアドバイスする。笑えるほどぶざまでも、堂々と「普通でない」自分として生きる道を見つけるべきだ、と。

©2025 The Slate Group

BABYGIRL

ベイビーガール

監督╱ハリナ・ライン

主演╱ニコール・キッドマン、ハリス・ディキンソン

日本公開中

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