<「住民大移動」「アメリカによる開発」を突然ぶち上げたトランプ大統領だが、和平の実現には世界が「腐りきった」パレスチナ自治政府に向き合い「唯一の道」にたどり着く必要がある>

絶妙のタイミングだったのは間違いない。6週間の期限付きとはいえ、パレスチナ自治区ガザでの停戦が発効したのはドナルド・トランプが2度目の大統領就任式に臨む前日の1月19日。運がよければ、2023年10月に始まった戦争はこのまま終結に向かうかもしれない。

就任式当日にも、トランプは上機嫌で手柄話を繰り返していた。いわく、停戦案の大筋は昨年5月段階でまとまっていたのに前大統領ジョー・バイデンは決め切れなかった、だから自分がスティーブ・ウィトコフを特使として送り込み、ぎりぎりで突破口を開かせたのだ、などなど。

実際、イスラエル側の複数の情報源も本誌に、トランプ陣営のひと押しでみんなが動いたと証言している。

トランプは就任から1週間足らずで、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦合意の延長も見届けた。トランプ流「力による平和」路線の船出は、まず順調と言えそうだ。

しかし新政権が移民の大量強制送還デンマーク領グリーンランドの「購入」構想などで、国内外で多くの物議を醸しているのも事実。この先を見据えるなら、そして今回の貴重な外交的勝利を無駄にしないためにも、中東和平には一段と真摯で慎重な取り組みが求められる。

「イスラエルのネタニヤフ首相はトランプにノーと言えなかった。カタールやエジプトはトランプに貸しをつくりたかった。だから(イスラム組織)ハマスを説き伏せ、あの時点での停戦をのませた。自分の政権下で戦闘が再開される事態をトランプは望まないという読みがあったからだ」。

ベテラン外交官でワシントン中近東政策研究所のデニス・ロスはそう語った。

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停戦合意を手柄にしたいなら「もっと力を発揮」する必要が
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