もっともアメリカは、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象であることを明らかにしている。フィリピンに対しても同様であるべきで、フィリピンの支配下にある地域の変更を強いるいかなる試みも相互防衛条約の適用対象となることを明言すべきだ。

アメリカが同盟国のために立ち上がるのなら、この10年の間にアメリカが使用権を得たフィリピンの海・空軍基地9カ所を利用することができる。もしアメリカが立ち上がらなければ、中国は南シナ海の支配を強め、豊富なエネルギー源や漁業資源を独占し、非友好的な国に罰を与えるだけの力を得るだろう。

中国の勢いは南シナ海だけでは終わらないはずだ。中国はこれまで東シナ海からヒマラヤ山脈、小国のブータンに至るまで、脅しや嫌がらせ、奇襲などさまざまな手を駆使して覇権を拡大させてきた。「いじめっ子」中国を阻止する唯一の方法は、匹敵する力を持つ挑戦者が立ち向かうことだ。挑戦者たるアメリカは、まずフィリピンを守ることから始めるべきである。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240527043243.jpgブラマ・チェラニ

BRAHMA CHELLANEY

インドにおける戦略研究・分析の第一人者。インド政策研究センター教授、ロバート・ボッシュ・アカデミー(ドイツ)研究員。『アジアン・ジャガーノート』『水と平和と戦争』など著書多数。
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