大麦とトウモロコシは繊維が多く、消化されにくいデンプンを含んでいるため、口腔微生物の健康状態が良くなる一方、米や小麦を食べると唾液アミラーゼ(口内でデンプンの消化をする酵素)が増加する。

また、ネパール人の被験者がネトル(シスヌ/セイヨウイラクサ)を噛むかどうかによっても違いが見られた。本研究を主導したペンシルバニア州立大学エバーリー・カレッジ・オブ・サイエンスのエミリー・ダベンポート助教授は次のように述べる。

 

「口腔微生物が摂取する穀物によって違いが見られることは理にかなっていますが、ネトル(シスヌ/セイヨウイラクサ)との関連性も見られることは興味深いことです。

ネトルは、本研究での採集狩猟民のグループがガムのようによく噛んでいる繊維質の植物です。ネパールの料理、文化、医療における重要な役割を考慮すると、口腔微生物と関連があるのは興味深いことです」

口腔内微生物は十分に研究されておらず、研究のほとんどが西洋人を対象に行われてきた。また先行研究では、都市部のヨーロッパ人と地球の反対側の採集狩猟民のグループの唾液など、異なる地域間での口腔微生物の比較が行われてきた。しかし、本研究では地理的要因と生活様式の変化を分けて調査できたとして、ベンポート助教授は次のように述べる。

「本研究から多くの学びがありましたが、微生物群は世界中で異なっています。口腔微生物の多様性や構成が生活様式によって、どのように変化するかをグローバルな文脈で研究することで、人間の健康に及ぼす影響についての知識を深めることができます」

本研究は11月4日に科学学術誌「マイクロバイオーム(Microbiome)」で発表され、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、スタンフォード大学、およびニューヨーク大学アブダビ校の研究助成を受けている。

【参考文献】

Ryu, E. P., Gautam, Y., Proctor, D. M., Bhandari, D., Tandukar, S., Gupta, M., Gautam, G. P., Relman, D. A., Shibl, A. A., Sherchand, J. B., Jha, A. R. (2024). Nepali oral microbiomes reflect a gradient of lifestyles from traditional to industrialized, Microbiome 12(228).

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