多くの国・地域への展開を見据えたフラット組織文化の浸透

現在、星野リゾートのフラットな組織文化は、CSV経営やSDGs推進にもプラスの影響を与えているという。

「地域が抱える課題はそれぞれ異なるため、チェーン企業として全施設共通の取り組みも推進しながら、各施設が事業の特性や強みを活かし、各地域の実情に則したCSV/SDGs推進に取り組むことが求められます。各施設のスタッフが地域の方々と交流する中で、その地域の課題を深く理解し、星野リゾートの事業を通じて課題解決する方法を提案したことで実現したプロジェクトも多数存在します」(小泉氏)

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「星野リゾート 青森屋」での「魅力会議」の様子

星野リゾートがこのフラットな組織文化を目指し始めたきっかけは、現代表の星野佳路氏が事業を引き継いだ1991年にさかのぼる。当時、人材採用に苦慮していた同氏は、社員が楽しみながら長く働ける環境を作りたいと考え、自主的に発想し、発言し、行動できる組織の構築に着手したという。

だが、伝統的なピラミッド型の組織で働いていたスタッフや、異なる文化的背景を持つスタッフもいるなかで、フラットな組織文化を浸透させるのは必ずしも容易ではない。

「そのため、自分の発想や行動でお客様に喜んでもらったなどの小さな体験を積み重ねることで、浸透をはかっています。現在、星野リゾートは海外で5つの施設を運営していますが、今後さらに多くの国・地域に展開するためには、いかに『フラットな組織文化』を理解・浸透できるかが重要だと考えています」(小泉氏)

日本では依然として伝統的なピラミッド型組織が主流だが、社員一人ひとりが主体性とやりがいを持てる環境を目指すなら、星野リゾートのような「フラットな組織文化」を検討する価値は十分にある。特に、日本企業が海外展開を進める際には、この文化が重要なカギとなりそうだ。

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