9月9日、停戦交渉で仲介役を果たしてきたカタールがイスラエルによる空爆を受けた。ハマス幹部を狙った作戦は失敗したものの、異例の事態を受けてアラブ諸国はドーハに緊急参集。

しかしイスラエルへの批判はすれど、具体的な行動には至らなかった。

 

2023年10月以降、イスラエルはパレスチナ、レバノン、シリア、イエメン、イランを次々と攻撃し、ついにはカタールにも手を伸ばした。

アラブで先陣を切ってイスラエルと国交正常化したエジプトのシシ大統領は、和平合意以来初めてイスラエルを「敵」と呼び、シナイ半島での軍備増強を進めていると伝えられるなど、中東でのイスラエルへの警戒感は高まっている。

しかし、第4次中東戦争でイスラエル支援国への原油供給を停止し、経済的打撃を与えたような圧力はもはや期待できない。アラブ諸国の多くは、イスラエルあるいはその背後にいるアメリカとの関係を必要としているからだ。

レバノンのアナリストが「アラブ諸国は過去100年間、完全な主権を獲得したことはない。福祉、安全保障、あるいは生存のため、外国に依存している」と指摘するように、カタールは安全保障面でアメリカに強く依存。エジプトやヨルダンも天然ガスや水の供給でイスラエルに依存している。

これはイスラエルにとってアラブ諸国との国交正常化、いわゆる「アブラハム合意」を前進させるには好都合だが、内実は不安定だ。

対諜報機関モサドの前長官ヨシ・コーヘンが「ネタニヤフ(首相)は近隣国の首脳との信頼関係を築いたことがない」と最近証言したように、地域指導者との関係構築に失敗し続けている。事実、社会的にも経済的にも深い関係にあるヨルダン国王との対話さえも断絶していたという。

「戦略なき中東政策」
【関連記事】