ロトロの描写が浅いからこそ、終盤のフォーク・フェスティバルにおけるディランの反逆と鬱屈も表層的なままで終わってしまっている。
史実に忠実でないことが不満なのではない。映画にとってもディランにとっても、重要な役割を果たしたロトロを描き切っていないことが不満なのだ。
僕にとってはここ数年で、(期待していただけに)がっかりした映画の筆頭だ。
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024年)©2025 Searchlight Pictures.
監督/ジェームズ・マンゴールド
出演/ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング
<本誌2025年11月18日号掲載>
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