【アメリカの新しい現実を理解しよう】

EUはアメリカの変化に対抗しうる唯一の勢力として、にわかに注目と期待を集めている。

しかし、ドイツ選挙においてDSA法を根拠としたXに対する研究者へのデータアクセス開放の命令が無視されたことや、ドイツを始めとする各国で極右が台頭していることを考えると、アメリカの変化に対抗するには力不足という感が否めない。

トランプが加速したこの変化は否応なく世界を巻き込み、日本もその渦中にある。対抗策も重要だが、もっと重要なのは、「なにが起きているか」を正しく把握することである。

それはとりもなおさず、「アメリカの現実」を理解することであり、異なる世界線を知ることでもある。

現状、アメリカの変化に関するレポートにはなんらかの価値観が入り込んでいる。もちろん、価値観を排除することは不可能なのだが、多様な世界線の大国が複数存在する世界では自分がどの世界線に立って、どの世界線を分析しているのを明示しないと議論にならない。

日本ではEU(あるいは過去のアメリカ)の世界線に立って、現在のアメリカの世界線を論じているものが多いように感じる。新しいアメリカの世界線に立った論考もまた必要なはずだが、寡聞にしてまだ接したことがない。

なにしろ日本では、アメリカのハイブリッド内戦を象徴する反主流派映画だった「サウンド・オブ・フリーダム」の内容を信じて寄付までする有識者が何人もいたくらいだ。今のアメリカを俯瞰して理解できる有識者がどれほどいるのか不安である。

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