この動画の中には様々な単語が出てくる。核になるのはDS、ネオコン、ユダヤ人(系)の三つである。この三つが相互複雑に関係しながらも結局は全部一緒に連動してウクライナ紛争に介入し、反プーチン運動を策動しており、これを日本のメディアは一切報じないという世界観が、大まかに言ってこの動画の趣旨である。

そもそもまずDSなるものは存在しない。次にネオコンだが、一般的には新保守主義と訳されるが、この動画の中での明確な定義はない。ユダヤ系については、そもそも伝統的にヨーロッパ広域に(限らずだが)存在しているが、何故そのユダヤ系がハーケンクロイツを振りながらロシア人を虐殺しているのか、篠原氏は「ショックだ」というだけで理由は説明されていない。

アゾフ大隊は当時、親露派と戦う義勇部隊として確かに存在し、現在はウクライナ軍の一部となっている。当時アゾフ大隊がナチスを彷彿とさせる紋章類を使用していたことは事実である。

が、彼らがロシア人を虐殺したという事実は立証されていない。OSCEが立ち会って、虐殺と認定した事実もない。またアゾフ大隊の支援者のひとりがコロモイスキー氏であることは事実だが、アゾフ大隊の全部がユダヤ系では当然ない。アゾフ大隊がナチスの紋章類を使用したのは、独ソ戦でドイツがソ連に侵攻したために、親露派をソ連に見立てたのが理由ではないかと思われる。いずれの発言も事実を立証できないものばかりだが、馬渕・篠原両氏はこれを「事実」として、ウクライナ危機の「真実」だと断定する。

アメリカの報道も日本の報道もディープステートの策略

もうひとつの動画、"【桜無門関】馬渕睦夫×水島総~"はどうか。こちらの動画は、前掲した"「ひとりがたり馬渕睦夫」#40~"が約2年前に公開されたのと比して、その公開日はまさにウクライナ侵攻当日の2022年2月24日である。但し収録番組なので、実際の発言は2022年2月22日(侵攻2日前)になされたものである。これも馬渕氏とネット放送局・日本文化チャンネルの代表の水島総氏との対談という形で構成されている。主要部分を抜粋してみよう。

狙われたプーチン大統領