民主派の棺を覆う赤い旗

66年に文化大革命が始まると、栄はいち早く「資本主義の道を歩む者」として失脚したが、その後復権。79年に鄧の指示により、中国国際信託投資公司(CITIC)を設立し、初代最高経営者になる。父親世代の人脈を利用して日本や欧米からの外資導入に尽力し、改革開放政策を支えた。当時、首都・北京で遊学していた私の目には、市内で一番の高層建築だったCITICビルはまばゆく輝く資本主義の象徴そのものだった。

その後、栄が05年に死去して葬儀が営まれたとき、鎌とハンマーのマークが入った真っ赤な共産党旗が棺桶を覆っているのには驚いた。89年6月の天安門事件で民主化を求める市民が弾圧された際も、栄は政府に市民との対話を呼び掛けるなど、民主党派の代表的存在だったからだ。だが実際は共産党員として、民主党派を指導していたわけだ。

今、IT大手のアリババはグローバル企業として世界に君臨している。これは商才というよりも、独裁と暴力で共産主義の拡張を目指す中国共産党の経済力が世界を支配しつつある事実を抜きにしては語れない。

「赤い資本家」とどう付き合っていくか──欧米も隠れ共産党員の浸透に驚いてばかりはいられない時代になった。

<本誌2018年12月18日号掲載>

※12月18日号(12月11日発売)は「間違いだらけのAI論」特集。AI信奉者が陥るソロー・パラドックスの罠とは何か。私たちは過大評価と盲信で人工知能の「爆発点」を見失っていないか。「期待」と「現実」の間にミスマッチはないか。来るべきAI格差社会を生き残るための知恵をレポートする。

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