地球温暖化で鳥類「血の抗争」が始まった──敵を殺し脳を食べる行動も

2019年1月11日(金)16時38分
ハナ・オズボーン

争いが激化した一因は餌の奪い合いだ。シジュウカラもマダラヒタキも、蝶や蛾などの幼虫を主食にする。「(温暖化で)気温が上がると幼虫の発生ピークも大幅に早まる」とサンプロニアスは言う。

「シジュウカラは一カ所にいるので餌のピークの変化にも対応できるが、マダラヒタキは長距離を飛んでくるため、到着したときにある餌がすべてだ」

「マダラヒタキが温暖化に適応する唯一の方法は、餌のピークに合わせて毎年早めに渡ることだ」

争いが激化するのは寒い春

最も争いが激しくなるのは、例年より寒い春だ。シジュウカラは遅れて巣作りするのに、マダラヒタキは早く渡ってくる。そうなれば、両者の遭遇機会が増えて争いが起きる。

サンプロニアスによれば、もしこのまま温暖化が続けば、越冬できるシジュウカラが増えるため種全体の生息数も増える。つまり、より多くの繁殖地が必要になってくる。

現時点で争いの増加は種の生息数に影響するほどではないが、将来的には「異種間の競争がより激しくなるかもしれない」と研究者たちは結んでいる。

(翻訳:河原里香)

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