超格差を生む「ギグ・エコノミー」残酷物語――FB共同創業者が救済策を提案

2018年3月23日(金)14時10分
肥田 美佐子

この数字がどのくらい正確なのかはわからないが、米就職情報サイト「インディード」でも、「配達に45分を要して報酬は4ドル。クレージーだ」(シカゴ)、「1件につき平均4ドル。ガソリン代で足が出ることも」(ボストン)など、匿名の批判的なコメントが目立つ。講演やインタビューの音声の書き起こしなどを専門とする、フリーランサー向けスタートアップ企業の個人請負のなかには、経費を差し引く前の報酬が時給換算で8ドルを切る人もザラだ。

一方、こうしたギグ・エコノミー企業は投資家から巨額の資金を調達。幹部やアプリ開発などのエンジニアは高給を手にしているという「超格差」の現実がある。テクノロジーの発達で便利さを享受し、サービスや製品の価格も抑えられるのは、消費者としてはありがたい。テクノロジーの未来を語るのも楽しい。だが、ギグ・エコノミーを支えている人たちの境遇を考えると、同じフリーランサーとして胸が痛む。

「米国(経済)のために働いているかぎり、国があなたの面倒を見ますよ。僕が提案しているのは、そういうシンプルなアイデアだ」と、ヒューズ氏は前出の番組で語った。皮肉にも、ニューエコノミーで莫大な財を成したビリオネアがこうした救済案を訴えざるを得なくなるほど、米国の経済格差は進行している。


 

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