最新記事

アメリカ経済

ウォーレン・バフェット「予想以上の米景気回復が追い風」、株主総会

2021年5月3日(月)09時23分

著名投資家ウォーレン・バフェット氏(左)が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは1日、オンラインで年次株主総会を開いた。バフェット氏は、予想よりかなり順調な米景気回復が事業の追い風になっていると指摘した。写真はライブ配信動画から。Yahoo Finance提供(2021年 ロイター)

著名投資家ウォーレン・バフェット氏(90)が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは1日、オンラインで年次株主総会を開いた。バフェット氏は、予想よりかなり順調な米景気回復が事業の追い風になっていると指摘した。

バフェット氏は米経済について、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和と米議会の景気刺激策によって「非常に効果的に復活した」と述べ、「米経済は現在、85%が超高速で走っている」との見方を示した。

一方、特別買収目的会社(SPAC)の急増や、個人投資家の投機的な売買によって市場はカジノのように感じられるとし、バークシャーにとっては手元資金の投入が難しくなっているとした。

今回の株主総会はカリフォルニア州ロサンゼルスから中継され、バフェット最高経営責任者(CEO)と盟友のチャーリー・マンガー副会長(97)が3時間以上にわたり株主の質問に答えた。

自動車保険のガイコや鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)などバークシャー傘下の事業会社の多くは、新型コロナウイルスワクチンの接種進展や経済活動の制限緩和などを受けて持ち直している。

バフェット氏は、米景気回復を踏まえると、米航空大手4社の株式を昨年に全て売却したのはタイミングが悪かったようだと述べた。

アップルについては「必要不可欠」な製品を備えた「並外れたビジネスだ」と称賛し、アップル株を昨年終盤に一部売却したのは間違いだったと認めた。

マンガー氏は、米政権や議会が法人増税を検討していることについて、バークシャーにとって「この世の終わり」ではないとして、さほど懸念しない立場を示した。

バフェット氏は、SPACの急増によって企業買収の価格が高くなっていると指摘。「(買収に)投じたい資金がおそらく700億ドルか800億ドル程度あるが、こうした状況ではチャンスがない」と述べた。

ロビンフッドなどの株取引アプリについても、「ギャンブルの衝動」を駆り立てると批判した。

総会では、バークシャーに気候変動対策およびダイバーシティー(多様性)への取り組みについて情報開示の拡大を求める提案が株主の投票で否決された。ただ、両提案にはいずれも約4分の1の賛成が集まり、株主の間でこれまでより不満が高まっていることが示された。3分の1近くの議決権を握るバフェット氏は両提案に反対した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄、2段階以上の格下げ可能性 財務負担緩和策次第

ビジネス

独6月PMI速報値は50.4、製造業けん引し50回

ワールド

オマーン、湾岸諸国初の個人所得税導入 2028年か

ビジネス

日経平均は3日続落、米イラン核施設攻撃を嫌気 円安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中