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自称「天才」率いるセックス・カルト 集団内部の秘密グループに参加したら...

Exposing Cults

2018年11月29日(木)17時55分
ニューズウィーク日本版編集部

――カルト集団が人々を引き付けるメカニズムについて、取材を通じて分かったことは?

私は『ABCニュース』時代にカルトの取材を少しやったことがあったので、多少の事前知識はあった。ただ、この手の集団がまだこんなに多く存在しているとは思わなかった。

カルトのような極端な思想のグループに加わるのは、他人の意見に流されやすく、だまされやすい人だという印象があると思う。でも実際には、多くの人々はとても聡明で善良だ。

私たちが話を聞いた人々の多くは、カルト集団の内部で生まれ、組織に加わるかどうかの選択肢がそもそもなかった。(彼らは)一般社会から隔離された状態で育つ。だから組織を離脱して自由になっても、外の世界への適応にとても苦労する。

――ネクセウムを特集した第1回では、人々がゆっくりとグループに取り込まれていく様子がとても興味深かった。

サラ・エドモンドソンは素晴らしい人。番組を見れば、とても美しく聡明な女優で妻で母親であることが分かる。彼女は社会から疎外され、何も手に入れられずに周囲の全てを恨むような人間ではなかった。彼女は実社会で成功していた。ただ、「もっと」よくなりたいと願っていただけ。

彼女は焼き印を入れたことをひどく後悔している。脅しの材料に使える個人情報を渡したことも、多くの人々を巻き込んだことも。サラは彼らを探して、「私はひどい過ちを犯した」と謝罪しようとした。

彼女は番組の中で、「ゆでガエル」の比喩を使っている。熱湯の鍋にカエルを入れたらすぐ逃げる。でも、冷たい水の中に入れて、鍋をゆっくりと熱した場合、カエルは逃げ出さない。水温の変化が小さくて気付かないから。

サラはネクセウムに12年間いて、12年かけて思想を植え付けられた。(組織のメンバーは)ゆっくりと外の世界から隔離され、家族や友人と会う機会が減らされていく。

そして間もなく、ある種の残響室にいるような状態になる。組織への批判的な考えが思い浮かぶたび、周囲の他のメンバーが一斉に立ち上がり、「ばかなことを考えてはダメ。これでいいの」と大合唱する。あるいは、「問題はあなた自身。心をざわつかせる結論は間違った結論。考えを変えるのよ」と。

――外部から見ると、キース・ラニエールにカリスマ性があるとは思えない。しかし、あの世界で彼の周囲に長時間いると、ある種のカリスマ性を感じ始めるようにみえる。

私はラニエールに直接会う機会がなかった。多分、インタビュー動画では分からないカリスマ性や人格的な力があったのだと思う。

ある元メンバーの男性によると、女性たちは真夜中にラニエールの周りに群がり、話に耳を傾けていた。それから何週間も、「彼の言葉はどういう意味だと思う?」と言い合っていた。

メンバーたち、特に女性は彼に夢中だった。そのような感情を持つ人々が近くにいれば、それを利用できる。

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