最新記事
トランプ

「過去最高の税収増」の皮肉...トランプ関税が米雇用を減らし低所得者をさいなむ現実

2025年6月2日(月)16時20分
ヘスス・メサ
トランプはUSスチールで鉄鋼関税の効果を強調したが

トランプはUSスチールで鉄鋼関税の効果を強調したが(5月30日) LEAH MILLISーREUTERS

<トランプ関税は確かに税収増をもたらしたが、それを財源にして直ちに大幅減税が実現するというほど話は単純ではないようだ>

トランプ米大統領の関税政策は、米国内の物価上昇や貿易相手国による報復措置など、数々の経済的混乱をもたらしている。しかし、ある目を見張る結果も生んでいる。

アメリカの関税収入が急増しているのだ。5月の関税収入は、昨年5月の約3倍に相当する230億ドル近くに達し、1カ月当たりの過去最高額を更新した見通しだ。ペンシルベニア大学経営大学院が米財務省のデータを分析した結果によると、今年の関税収入はこれまでの合計で682億3000万ドル。前年同期間の78%増となっている。


トランプに言わせれば、同政権の関税政策はアメリカの製造業を再建すると同時に、所得税に頼らずに政府が予算を確保する手だてでもあるという。関税収入により、将来は連邦所得税を廃止できると、トランプ政権は主張している。




もっとも、話は単純ではない。関税は輸入品に対して課される税金だ。従って、まずアメリカ企業が輸入時に税を負担する。しかし、経済学の研究によると、そのコストは最終的に国内の消費者に転嫁される。商品価格が押し上げられるからだ。

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:金正恩氏の娘ジュエ氏、訪中同行で国際デビ

ワールド

ロシア、ウクライナに大規模空爆 ポーランドがスクラ

ワールド

ロ朝首脳会談始まる、北朝鮮のロシア派兵にプーチン大

ワールド

台湾総統、強権的な指導者崇拝を批判 中国軍事パレー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中