最新記事

サウジアラビア

「砂漠で、ウインタースポーツ?」サウジアラビアの未来都市「ネオム」でアジア冬季大会開催へ

2022年10月16日(日)10時02分
青葉やまと

ネオムのスキーリゾートのイメージ図 Copyright NEOM

<サウジアラビアで開発中の未来都市、ネオム。砂漠の真っ只中で、ウインタースポーツの祭典が可能になるという>

2029年のアジア冬季競技大会の開催地が、サウジアラビアで建設中の未来都市「ネオム」に決定した。紅海に面する北東部で開発中のネオムは、5000億ドル(約74兆円)を投じた巨大な開発プロジェクトだ。

メイン会場はネオムを構成する10地区のひとつであり、2026年の完成を目指して開発中の山岳リゾート地帯「トロヘナ」となる。トロヘナ地区の中核施設となるのが、巨大な人工スキー場だ。山肌に沿って高低差を設けた幾多のコースが立体的に絡み合い、複雑で有機的な表情をみせる。ドイツの著名建築事務所・LAVAが設計を担当した。

サウジ・オリンピック&パラリンピック委員会がアジア冬季競技大会の開催地決定を祝して投稿した動画では、スキーコースが極めて複雑な構造となっている様子がうかがえる。コースの下部は岩山が支えているようにもみえるが、注意深くみると人工の構造物となっており、複数のリボンウィンドウの層を確認できる。

この部分には、ホテルやショッピングモールなどが入居するとみられる。これら建築の屋上に設けられた斜面が自然の山肌と融合し、一体となってコースを形成している。このほか、トロヘナ地区全体の設計には、イギリスのザハ・ハディド・アーキテクツやオランダのUNスタジオなど世界的な建築家集団が参加している。

ネオム・プロジェクトは動画を通じ、トロヘナ地区が「最先端のテクノロジーによって支えられた、世界的にもユニークな旅行先」になるとPRしている。「自然の風景に溶け込んだ、息を呑むような建築と革新的なエンジニアリング」に囲まれながら、高地を生かした「地域初の屋外スキー」と「世界レベルのにぎやかなエンターテイメントを楽しむ」ことができるとの触れ込みだ。

>>■■【動画・画像】アジア冬季大会、砂漠で開催へ 74兆円かけ開発中の未来都市「ネオム」で■■

砂漠の真ん中で冬季スポーツの祭典

アジア冬季競技大会は1986年の第1回大会が日本の札幌で開催されて以来、中国・ハルビンや、カザフスタンの計画都市・アスタナなどで開かれてきた。中東での開催はサウジのネオムが初となる。

原則4年ごとに開催の同大会は会場選びが難航し、2017年の札幌大会を最後に計画が中断していた。2029年のネオム大会は12年越しの開催となる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中