最新記事

サイエンス

石を使って自慰行為をするサルが観察される

Scientists Discover Monkeys Use Stones as Sex Toys

2022年8月18日(木)17時49分
ジェス・トムソン

道具使いはお手のもの──観光客の缶ジュースを奪って飲むカニクイザル(タイのランタ島) Lechatnoir-istock.

<ヒト以外の動物も性的快感を得るために道具を使用することを示す希少な報告例>

インドネシアのカニクイザルが石を使って自慰行為をする場面が観察された。

カナダのレスブリッジ大学の研究チームは、バリ島ウブドにある自然保護区モンキーフォレストで、サルが石で性器をこすったり軽くたたいたりして性的に興奮した兆候を示すことに気づいた。

動物行動学の学術誌エソロジーに掲載された論文で、同チームは雄ザルが石でペニスを刺激した後、ペニスが勃起するか、元々見られた勃起が石を使用しない場合よりも長く続いたと報告している。こうした行為は、他のどの年代グループよりも、思春期のサルに有意に多く見られた。

雌ザルは自慰行為による変化が外からは分かりにくく、性的興奮のレベルを計測しにくいが、雌たちも形や大きさを比べて好みの石を選び、性器をこする様子が観察されている。研究チームによれば、ざらついた石や角張った石を好むようだ。

乱婚集団は自慰行為が多い?

このカニクイザルの群れでは、石をおもちゃとして扱うような行動は以前から見られたが、そうした行動ではペニスは勃起しない。今回観察された「石で性器をたたくか、こする行為」ではすぐに勃起するため、「明らかに性的な動機による使用と考えられる」と、研究チームは述べている。

ヒト以外でもチンパンジーや犬など数種の動物が自慰行為を行うことはよく知られており、ヤマアラシでも報告されている。

自慰行為はヒトと近縁な霊長類で最も多く見られるが、野生よりも飼育下のサルが行うケースが多いようだ。交尾相手の不足も一因と見られ、日本の鹿児島県屋久島ではニホンザルがシカの背中に乗り、交尾を試みる前代未聞の事例も報告されている。

自慰行為の有無や頻度は、動物の群れの配偶システムと関連があるようだ。論文の著者らが霊長類の研究者にアンケート調査を行った結果、カニクイザルやニホンザルを含むマカク属など多夫多妻の乱婚システムで繁殖するサルで、雄の自慰行為が最も頻繁に観察されていることが分かった。

石を使って自慰をするサルの写真を見る

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中