最新記事

事件

安倍元首相が演説中に銃撃され死去

2022年7月8日(金)17時50分
安倍元首相

共同通信によると、8日午前11時半ごろ、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が不審な男に背後から襲われた。NHKによると安倍元首相は倒れ、血を流しており、銃声のようなものが聞こえたという。安倍氏はその後、救急車で運ばれた。写真は2020年8月、都内で代表撮影(2022年 ロイター)

8日午前11時半ごろ、奈良市で街頭演説をしていた安倍晋三元首相(67)が男に背後から銃撃された。

NHKなど複数のメディアによると、安倍晋三元首相は治療を受けていた奈良県橿原市内の病院で午後5時3分死去した。

NHKによると、安倍氏を襲った男は殺人未遂の疑いで現場で逮捕され、銃も押収された。逮捕されたのは奈良県在住の山上徹也容疑者(41)で、捜査関係者の情報では、押収された銃は手製だった。「安倍元総理大臣に対して不満があり、殺そうと思って狙った」という趣旨の供述をしているという。複数の国内メディアは、山上容疑者が2002年から05年に海上自衛隊に所属していたと伝えている。

安倍氏は10日投開票の参議院選挙の自民党候補者の応援に駆けつけていた。党の奈良県連によると、この日の遊説に安倍氏が登壇することは前日に決定し、夕方以降に告知されたという。

岸田首相は官邸で記者団に「民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な蛮行であり、決して許すことはできない」、「最大限の厳しい言葉で非難する」と語った。

政府は午前11時45分、官邸危機管理センターに官邸対策室を設置。応援演説で各地にいる閣僚に、帰京するよう指示した。

安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は、東京・市ヶ谷にある防衛省の大臣室で一報を聞いたという。岸氏は記者団に「輸血を含めて救命治療に全力を尽くしている」、「ぜひとも回復されるよう祈っている」と語った。容疑者が元海上自衛官との報道については「捜査に協力しているのでコメントは差し控えたい。犯人のバックグラウンドがどうあっても許されることではない」とした。

「シンゾー」、「ドナルド」と呼び合う仲だった米国のトランプ前大統領は「われわれはシンゾーのために祈っている」とソーシャルメディアに投稿した。「彼は私の真の友人、もっと重要なことに、米国の真の友人」と書き込んだ。

金融市場にも影響

銃撃の報道を受けて金融市場は動揺した。外国為替市場は円高に振れ、対ドルでそれまでの136円前半から135.33円まで円が買われた。株式市場は昼休みの時間帯だったが、日経平均先物が上げ幅を縮小。後場が始まると国債先物は下げ幅を拡大した。

東海東京調査センターの金利・為替シニアストラテジスト、柴田秀樹氏は「安倍元首相は円安・低金利というアベノミクス相場の象徴だ。状況は予断を許さないが、金融緩和の後退といった思惑につながりやすい」との見方を示した。

T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー、浪岡宏氏は、海外投資家にとって「アベノミクス」のキーワードはとても印象的だと指摘。「菅義偉前首相、岸田文雄首相にしても、アベノミクスの影響を受けている部分はある。今回の事件が起きてしまったことで、今後の政治がどうなっていくか、アベノミクス的な視点は継続されるのか、という点が投資家にとって気掛かりだ」と話している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

独CPI、8月速報は前年比+2.1%に加速 予想上

ビジネス

米PCE価格、7月前年比+2.6%で変わらず コア

ワールド

タイのペートンタン首相失職、倫理規定に違反 憲法裁

ビジネス

中国大手行が上期決算発表、利ざや縮小に苦戦 景気低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 8
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 9
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 10
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中