最新記事

エネルギー

イギリス、4月から光熱費54%値上げ 政府は120億ドル投じ家計支援

2022年2月4日(金)09時24分
イギリス国旗

英ガス電力市場監督局(Ofgem)は3日、最も多くの世帯が利用するプランの上限価格を4月から54%引き上げ、年間1971ポンドにすると発表した。1月29日、ロンドンで撮影(2022 年 ロイター/May James)

英ガス電力市場監督局(Ofgem)は3日、最も多くの世帯が利用するプランの上限価格を4月から54%引き上げ、年間1971ポンドにすると発表した。世界的なガス価格の高騰により、英国のエネルギー供給業者30社近くが経営難に陥っていることが背景にある。

家庭のエネルギー料金が急騰することになり、政府は苦境に立つ家庭に90億ポンド(120億ドル)の新たな支援を実施する必要に迫られている。

スナク財務相は、何百万人もの人々にとっての「重大な価格ショックの痛手」を緩和するために介入する以外の選択肢はないと述べた。

政府は今後、エネルギー供給業者に国が保証する融資を提供し、コスト増を5年間にわたって分散させるとともに、イングランドの約80%の世帯に地方税の150ポンドを払い戻す。

6カ月間の上限価格設定によって消費者への直接的な影響は限定的なものとなる一方、2021年以降に供給業者25社以上が廃業に追い込まれた。

アナリストによると、消費者への影響を先送りしようとするスナク氏の試みは危険な賭けともいえる。しかし、欧州の主要ガス供給国であるロシアがウクライナ問題で欧米と対立しているため、来年以降も価格は高止まりするとみられる。指標となる欧州のガス卸価格は、昨年300%以上上昇した。

Ofgemのブレアリー最高経営責任者(CEO)は、エネルギー市場では30年に一度の世界的なガス価格の上昇があったとして「エネルギー規制機関としてのOfgemの役割は、上限価格の下で、エネルギー会社が電気とガスの供給にかかる真のコストに基づいた公正な価格のみを請求できるようにすることだ」と表明した。

Ofgemは、市場の実際のコストを確実に反映するため、上限価格を更新する頻度の変更を検討するとも発表した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中