
殿下と過ごした時は本当に楽しかった。100年も前に生まれ、何百年も前から続く王室に入り、世間から隔絶された暮らしを送ってきた別世界の人物とは思えなかった。
自分の作品がどんな運命をたどるか、そんなことは知りようもない。だから自分に正直に描くのみ。あのときも、自分が殿下の中に見たものを素直に描いたつもりだ。
殿下が亡くなられた4月9日の晩、いつものようにSNSをチェックしていたら、たくさんの人が私の描いた殿下の肖像をシェアしていることに気付いた。
うれしかった。15年前に描いた小さな1枚の絵が多くの人の目に留まり、こんなときに思いをつなぐ役に立つとは。私は幸せ者だ。たまたま出来のいい子がいたことを、少しは自慢できる。
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