最新記事

感染症対策

欧州各国、コロナ検査キット無償配布 一方で製薬会社の「暴利」批判も

2021年5月15日(土)12時55分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

newsweek_20210514_022940.jpg

あちこちの薬局で、無償配布のお知らせが掲げられている(筆者撮影)

子ども含む全国民3分の1の初回配布分が出荷完了

筆者は、すぐに薬局に行かなかった。すると、配布から数日後、テレビのニュースでチューリヒの繁華街にあるA薬局の様子が流れ、「一気に人が来たため、すでに不足気味になっている。しかし、ロシュは一定量の配送はすると言っており、次の水曜か木曜にはまた配布できるはずだ」と店長が話していた。その水曜日、チューリヒでB薬局に行ってみるとまだ品切れ状態だった。

配布から10日後の午後、今度はC薬局に足を運んだ。もう数日待たないとだめだろうと思っていたら、あっさりと受け取れた。ただし、C薬局では「一家庭に2パックまで」と制限を設けていて、息子の分をもらうことはできなかった。店員に聞くと、午前中は受け取りたい人で長蛇の列だったそうだ。

スイス薬剤師連盟は、検査キットの数が限定的なため国民には仲間意識をもってもらい、必要な分だけ受け取るようお願いするとしている。将来的には他社の検査キットも承認され、購入も自由にできるようになるだろうとのことだ。

同連盟の説明通り、5月10日からは米ベクトン・ディッキンソンアンドカンパニーの検査キットの配布も始まった。

薬局の負担大

ロシュの5個の検査キットは透明な袋に入っている。検査キットは25個の箱入り(医療機関への販売単位)で、各薬局が箱から出し、5個ずつ手作業で詰め直している。なかには間違いがあってはいけないからと、1パックずつ計量し、重量によって最終チェックをする薬局まである。

スイス薬剤師連盟は、この作業は薬局の負担が大きいと公的な場で述べた。ロシュは近い将来5個入りパッケージを販売する予定になっているというが、いつから可能なのかは不明だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」

ワールド

訂正-米政権、政治暴力やヘイトスピーチ規制の大統領

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中