最新記事

教育

年々生徒数が増加する通信制高校が担う新たな役割

2021年4月8日(木)18時15分
舞田敏彦(教育社会学者)
リモート教育

少子化が進行する一方で2015年以降、通信制の生徒数は年々増加している svetikd/iStock.

<もともとは勤労青年のための教育機関だが、近年は不登校生徒の受け皿や成人の学び直しの場にもなっている>

制度の上では義務教育は中学校までだが、高校進学率が95%を超えている現在、高校までの教育は普遍化していると言っていい。この段階までの教育機会は公的に保障しようということで、修学支援も充実してきている。私立校の学費も、低所得世帯では実質無償だ。

高校は全日制・定時制の他に通信制課程もある。学校に登校せず、通信教育を受けながらレポートの提出等で単位を取得していく課程だ。全日制・定時制の生徒は1999年では421万人だったが、20年を経た2020年では309万人となっている。27%減少しているのは、少子化が進んでいるためだ。しかし通信制の生徒は17.1万人から20.7万人に増えている。<図1>は、1999年の生徒数を100とした指数のグラフだ。

data210408-chart01.jpg

全日制・定時制は滑り台のごとく減っているが、通信制は大局的には増加の傾向だ。2015年以降はずっと増えていて、最近2年間では傾斜が急になっている。1年間で1万人増のペースだ。小・中学校の不登校児の増加とパラレルなのも興味深い。不登校生徒の受け皿になっている面もあるのだろう。

自分のやりたいことをしながら、マイペースで学習を進められる通信制を選ぶ生徒もいる。3年ないしは4年という在籍年数は定められているが、上限はない。通信制の場合、10年近くかけて単位を積み上げて卒業する生徒もいる。

ユーチューバーやeスポーツのプロを志す子どもが増えているが、動画撮影やアルバイトをメインに据えながら、学習の証(単位)をゆっくり積んでいくのもいい。通信制高校はもともと、働きながら高卒学歴の取得を目指す勤労青年の教育機関だった。本業の傍らで学ぶという性格は、現在でも残っている。

今後は、こういう「夢追い型」の生徒も増えてくるのではないか。経済学者の森永卓郎氏の言葉で言うと「一億総アーティスト」の時代になるのだから。多感な思春期・青年期を、教室の四角い空間の中で過ごす必要はない。それをせずとも高卒学歴を得られる場が通信制高校だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 5
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中