最新記事

クーデター

ミャンマー、スーチー率いる与党幹部が拘留中に虐待死? 労組は経済閉鎖呼び掛け

2021年3月8日(月)09時26分

軍事クーデターに対する抗議デモが続くミャンマーでは、7日も各地で大規模なデモが行われた。ミャンマー北部ニャウンウーで、防御の姿勢をとるデモ参加者。SNSから入手したビデオ映像より(2021年 ロイター)

軍事クーデターに対する抗議デモが続くミャンマーでは、7日も各地で大規模なデモが行われた。メディアグループ「ミャンマー・ナウ」によると、マンダレーでは座り込みを行っていた数万人に対して警察が音響閃光弾(スタングレネード)や催涙ガスを使用。少なくとも70人を拘束した。

フェイスブックに投稿された映像によると、商業都市ヤンゴンや北部シャン地域の町ラシオでも警察がデモ隊に対して催涙ガスと音響閃光弾を発射。また、目撃者によると、仏教遺跡が残る古都バガンでは警察が発砲し、複数の住民はソーシャルメディアの中で実弾が使用されたと報告している。

ミャンマーの主要労働組合は、クーデターに反対するキャンペーンを支持するため8日から経済閉鎖に踏み切るよう組合員に呼び掛けた。

9労組でつくる労組連合は共同声明で「通常通り経済・事業活動を続けることは軍を利するだけだ」と指摘。「われわれの民主主義を守るために行動を起こすのは今だ」と表明した。

軍の広報担当者にコメントを求めたが、回答を得られなかった。軍はこれまで、法にのっとってデモに対処していると説明している。

警察当局からのコメントは得られなかった。

NLD幹部が勾留中に死亡

さらに、政権を奪われたアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)の幹部キン・マウン・ラット氏が警察での勾留中に死亡。クーデター後に上院議員を解職されたバ・ミョー・テイン氏によると、キン・マウン・ラット氏の頭部や身体に打撲傷があったとの報告があり、虐待された疑いがある。

バ・ミョー・テイン氏はロイターに対し「夜に逮捕され、激しい拷問を受けたようだ。全く受け入れられないことだ」と述べた。

キン・マウン・ラット氏を拘束していたヤンゴン・パベダン郡区の警察はコメントを避けた。

同氏は2020年の選挙で選出されたイスラム教徒議員の選挙担当マネジャーとして働いていた。

国連によると、クーデター発生以来、治安部隊はデモ・スト鎮圧活動で50人以上を殺害している。

非営利の政治犯支援団体「政治犯支援協会」のデータによると、6日までに1700人超が軍事政権に身柄を拘束された。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

第一生命HD、30年度利益目標引き上げ 7000億

ビジネス

JPモルガン、FRB利下げ予想12月に前倒し

ワールド

ニュージーランド、中銀の新会長にフィンレイ副会長を

ビジネス

中国の安踏体育、プーマ買収検討 アシックスなども関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中