最新記事

米株式市場

ゲームストップ株を暴騰させたアマチュア投資家たちの反乱と疑惑の幕切れ

Individual Investors Using GameStop to Game the System Risk Losing It All

2021年1月29日(金)16時55分
スコット・リーブス

ゲームストップ株の突然かつ予想外の急騰は、アマチュア投資家がウォール街のプロを出し抜いた結果のようだ。自分で株の売買を行う小口投資家(個人投資家)たちが、ソーシャルニュースサイトの「レディット」上で互いにやりとりを行う中で、金儲けをする方法を見つけたのだ。何ら違法なことはしていない。ただ数多くの個人投資家が集まって、これまで目立たなかった企業の株を買い、その価格を想定外の――そしてファンダメンタルズに基づいて考えれば不当な高値に吊り上げることに成功したのだ。

個人投資家たちはゲームストップの株を大量に購入して日々の出来高を押し上げ、さらに株価を競り上げて空売り投資家たちに圧力をかけた。価格が下がるほうに賭けている空売り投資家は、株価が上がるほど含み損が膨らむ。ついには株式を買い戻してポジションを解消しなければならなくなるが、それが株価をさらに押し上げる。

要するに、今回はアマチュア投資家が空売り投資家との立場を逆転させ、彼らの得意分野で彼らを打ち負かしたのだ。

「彼らはシステムの欠陥を利用した」とスミスは言った。「今回の一件を受けて、資本市場に対する監視が強化されればいいと思う。規制当局が市場の透明性確保に乗り出すことを期待する」

狙われた空売りトレーダー

ゲームストップ株をめぐるマネーゲームは、出来高も株価も記録的な水準に達した28日、突然、終わりを告げた。ロビンフッドが突然、ゲームストップ株を買うことを制限したのだ。株価は当然、暴落する。大損したのは、株を買い上がっていたアマチュア投資家で、ヘッジファンドは逆に一息つくことができた。

これを受けて、同社に対して少なくとも1件の訴訟が起こされている。マサチューセッツ在住のトレーダー、ブレンドン・ネルソンは28日にニューヨーク連邦地裁に提出した訴状の中で、ロビンフッドがゲームストップ株の取り引きを制限することで、ユーザーのサービス利用を阻止したと主張。ネルソンはロビンフッドが、「顧客から受けた注文を即時に、かつ完全に履行するためにあらゆる努力をする」ことを定めた米金融業規制機構のガイドラインに違反していると主張しており、集団訴訟に発展させたい考えだ。

<追記>
「金融の民主化」を掲げるロビンフットは、この訴訟についてノーコメントとしているが、ロビンフッドの株主にヘッジファンドがいることから、その指示に従ってアマチュア投資家を裏切ったのではないかと疑惑をもたれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中