最新記事

パンデミック

イタリアの新型コロナ感染、昨年9月には始まっていた可能性

2020年11月16日(月)16時58分

イタリアの国立がん研究所(INT)は、同国では新型コロナウイルスが昨年9月時点ですでに循環していたとの研究を発表した。写真は2020年11月14日、ローマのコルソ通りをマスク着用で歩く通行人。(2020年 ロイター/Remo Casilli)

イタリアの国立がん研究所(INT)は、同国では新型コロナウイルスが昨年9月時点ですでに循環していたとの研究を発表した。新型コロナの感染が当初考えられていたよりも早い時期に、中国国外で拡大していた可能性が示唆された。

世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスとCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)は昨年12月に中国中部の武漢で初めて感染流行が報告されるまで、知られていなかったとしている。

イタリアで最初の感染者は、今年2月21日に北部ロンバルディア州にあるミラノ近くの小都市で確認された。

しかしINTの科学誌に掲載された研究は、昨年9月から今年3月までに肺がん検査に応じた健康な959人のボランティアのうち、11.6%が2月よりはるか以前に新型コロナウイルスへの抗体を形成していたと報告した。

さらに研究には、シエナ大学が新型コロナウイルスに特定して行なった結果も掲載されており、共同執筆者のジョバンニ・アポロネ氏はロイターに、昨年10月第1週時点で4人が抗体を保有していたと明らかにした。これは、9月に感染していたことを意味するという。

同氏は「これが主要な発見だ。無症状の人々がウイルスを殺せる抗体を保持していた」と述べた。

さらに、「これは、新型コロナが長期にわたって低い致死性で人間の間で循環し得ることを意味する」と述べた。

イタリアの研究者らは3月、ロイターに、昨年第4・四半期にロンバルディア地方で肺炎とインフルエンザが重症化するケースが通常より多かったと報告しており、新型コロナが当時考えられていたより早くから循環していた可能性が示されたとみられている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フランスのコロナウィルス感染第二波が来るのは当然だった・・・・
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ国防相、600億ユーロ超への国防予算増額目指

ワールド

インドがパキスタンの「テロ拠点」攻撃、26人死亡 

ワールド

ウクライナに「テロの傾向」、モスクワ無人機攻撃で=

ビジネス

ベトナム、4月対米輸出と中国からの輸入がコロナ後最
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    分かり合えなかったあの兄を、一刻も早く持ち運べる…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 9
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中