最新記事

感染症対策

米製薬大手イーライリリー、コロナ抗体医薬の治験一時中断 安全性に懸念

2020年10月14日(水)11時05分

米製薬大手イーライリリーは13日、開発中の新型コロナウイルス感染症に対する抗体医薬品について、安全性を巡る懸念から臨床試験(治験)を一時中断したと明らかにした。仏ストラスブールで2018年2月撮影(2020年 ロイター/VINCENT KESSLER)

米製薬大手イーライリリーは13日、開発中の新型コロナウイルス感染症に対する抗体医薬品について、安全性を巡る懸念から臨床試験(治験)を一時中断したと明らかにした。

イーライリリーの抗体医薬品「LY─CoV555」 は米政府の支援対象。イーライリリーの広報担当者は「データ安全性監視委員会(DSMB)は十分な慎重性を期すため、参加者募集の一時中断を助言した」とし、「イーライリリーは治験参加者の安全を守るため、DSMBの決定を支持する」とした。

イーライリリーが実施している治験は「ACTIV─3」と呼ばれるもので、新型ウイルス感染症で入院している患者らを対象に8月に開始した。主に米国内で1万人の被験者募集を目標としている。

同社は7日、米食品医薬品局(FDA)に新型ウイルス抗体医薬の緊急使用認可を申請したと発表。治験中断について、FDA、および米国立衛生研究所(NIH)からコメントは得られていない。

新型ウイルスに感染し米リジェネロン・ファーマシューティカルズが開発中の「抗体カクテル」の投与を受けたトランプ米大統領は7日にツイッターに投稿したビデオで、自身の新型ウイルス感染症からの回復を助けたとして、リジェネロンとイーライリリーの新型コロナ治療薬の効果を絶賛し、これらの薬の緊急使用を認める考えを示していた。

新型ウイルスワクチンを巡っては、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が12日、被験者に原因不明の症状が出たことで治験の一時中断を発表。9月には英アストラゼネカがオックスフォード大学と開発する新型コロナワクチンの治験を一時中断した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北・東欧8カ国首脳、EUの防衛強化訴え ロシアは「

ビジネス

米ワーナー、パラマウントの買収案拒否の公算 17日

ビジネス

FRBの追加利下げ、インフレリスク高める可能性=ア

ワールド

トランプ氏支持率39%に低下、経済政策への不満広が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中