最新記事

日米関係

安倍政権、F35を総額1兆円で100機導入へ トランプの通商圧力の緩和を期待

2018年12月4日(火)17時20分

12月4日、政府は米国製の次世代ステルス戦闘機F35を中期的に100機程度購入する方向で検討に入った。写真はブエノスアイレスでのG20に際して会談した安倍首相(左)と、トランプ米大統領(右)。11月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

政府は米国製の次世代ステルス戦闘機F35を中期的に100機程度購入する方向で検討に入った。複数の関係筋によると、5年間で40機程度を購入し、その後に60機程度を継続購入。総額1兆円程度の調達コストを見込んでいる。2019年1月から始まる日米通商交渉で、米国が要求するとみられる日本からの自動車輸出削減などで、米側の「配慮」を引き出す効果などを狙っているとの声も、政府・与党内で浮上している。

5年間に最大40機購入の方向

ブエノスアイレスで11月30日に開かれた日米首脳会談では、トランプ米大統領が「日本はF35など大量の戦闘機を買ってくれており、われわれはそれを高く評価している」と謝意を表明した。

これに対し、日本政府高官は、日本が導入決定済みの42機のF35購入に対する「御礼」と説明している。

しかし、関係筋によると、政府内では今月中にまとめる防衛大綱や中期防衛力整備計画に、F35の追加購入を盛り込む方向で最終調整が進んでおり、与党幹部は「トランプ大統領は、新たに大量購入することへの御礼をしたのではないか」と解説する。

航空自衛隊は現在、F15戦闘機を200機保有。そのうち100機を改修して継続使用し、残りの100機については改修に適さないため、後継機種への買い替えが水面下で検討されてきた。

関係筋の1人は、第1弾として5年間で30─40機、可能であれば最大40機程度を購入し、その後の購入も含めて中期的に100機を調達するとの有力な選択肢があると説明する。

経済官庁幹部によると、購入初年度の2019年度予算では、数機分の予算が盛り込まれる可能性があるという。仮に8機ならば800億円程度となる。

このF35大量購入について政府・与党関係者は、ここ数年で急速に強化されている中国とロシアの航空戦力に対抗するためだと説明する。すでに中国はステルス戦闘機J20の大量生産などを公表。このままでは質・量ともに、日本が中国に対して劣勢になるとの見通しが、防衛当局者らから示されていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7、国際最低課税から米企業除外で合意 「報復税」

ワールド

米税制・歳出法案、上院で前進 数日内に可決も

ワールド

マスク氏、税制・歳出法案また批判 「雇用破壊し米国

ワールド

トランプ氏、イスラエル首相裁判巡り検察を批判 米の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影してみると...意外な正体に、悲しみと称賛が広がる
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    キャサリン妃の「大人キュート」18選...ファッション…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中